エンジニアの勤務体制を社員主導で変えた時の変化
はじめに
これは転職一ヶ月にして私がエンジニアの勤務体制を変えようとして、実際に試験運用まで持っていった時に何を考えて実行したかという話です。もう1年前になります。 弊社はトップダウンで物事を決めるのではなく、我々エンジニア同士で話し合って決めて物事を決めていける環境があります。
今回は勤務体制を変えるために考え、実際にエンジニア同士で話し合った過程をまとめました。
目指すところ
時間に縛られない働き方 をすることにより、プライベートと仕事の双方の質を上げたい。
というと聞こえがいいですが、不毛な時間調整を無くしたかったというのもあります。 時間ベースで働いてると「今日は仕事早く終わったけど勤務時間まだ残ってるからぼーっとしてよう」とか、「電車遅延して激しい混雑だが遅刻するから我慢していく」などが往々にして発生します。 時間に縛られてなければ仕事が終わったら帰る、電車が混雑してればカフェで仕事してから出社するということが出来ます。
時間のために何かをしたり我慢するのは、本来の仕事の本質とはかけ離れた労力じゃないでしょうか?
私たちはエンジニアです。 素晴らしい実装をすることや、世の中の役に立つためのものをいかに作るかという方に労力の大半を費やしたい です。
勤務時間という責任
とはいえ、なんでも「自由」にしてしまうと働かないこともできてしまうわけです(弊社にはそんな人いませんが)。会社としては今まで「決められた時間」で働いてもらっていたからこそ仕事に対して寛容である部分もあったわけです。 つまり社員は時間に対して責任を取り、会社は労働時間の対価を払っていたからこそ進捗の遅れなどにはある程度寛容であったのではないかということです(個人の見解です)
他にも盲目的に実施すると、他部署からはエンジニアは遅く出社した上に早く帰っちゃうけどちゃんと仕事してるの?という声もあがりかねないわけです。自分が勤務時間通りに働いてるのに、隣でそんなことされてたら腹が立つのは当然だと思います。
では私たちはどうすればいいのでしょう。
時間ではない責任と成果
もちろん私たちはプロ意識があります。時間に縛られずともちゃんとやることはやるし、よりよくすることにも労力を惜しみません。 だから「ちゃんとやってる僕らを信じてほしい」という気持ちもあると思います。 しかし、具体的に示すものが無い人を誰が信じるでしょうか?
成果についての考え方
例えば「プロダクトを良くする」という目標があって、ちゃんとやっていたとしましょう。実際に良くなっていたとします。 でもそれは曖昧で、周りから見たら具体的に何が良くなっているかわかりません。なんとなくに過ぎず、何がどう良くなったの?という言葉にはっきり答えられません。
何も示さず時間を自由にしてくれというのは、上記の事と同義ではないでしょうか。
私たちは声高々と「これだけのことをやりました」と言える成果が必要です。
成果は測定可能である方が良い
どれだけ良くなったか、何をやったかを明確に示すために、測定可能な指標を作ろうと考えました。
例えば上記の「プロダクトを良くする」であれば
- 目標
メンテや新機能開発が困難になってきたサービスのリプレースを段階的に実施する。 1Qに計画立案と項目の30パーセントを消化する。
とすれば
- 成果
計画立案と30%を品質の良い状態で達成した。
これなら「なに」を「どれだけやった」が明確に示されています。測定可能であり、明確に達成できたかわかる目標です。 私たちはここに気をつけて目標と、測定可能な指標を作ることにしました。
目標と成果
これで目標と成果のための指標が決まりました。私たちは「時間」の代わりにこの「成果」に責任を持って働きます。
ただし、この目標が低すぎたり高すぎたりするとスキルアップしなかったり過剰に働くことになってしまうので良くありません。この辺は長くなってしまうのでまた機会があったら書きたいと思います。
まとめ
時間が自由になったということは自身で働き方や働く時間を決め、自身の裁量によって成果を出していくということです。つまり時間で働いていたときよりも裁量が大きくなったことを意味します。裁量労働というものです。 現在弊社で実施しているものは完全な裁量労働ではなくゆるいルールが存在するのですが、ここにシフトしたお話もまた機会があったら書きたいと思います。 ともあれ、どれだけ働きどれだけの成果(目標はあります)を出すかは私達の裁量次第になったわけです。
時間に縛られないことで、サボることやサービスの質の低下の懸念はもちろんあるでしょう。しかし、今回の勤務体制の変化は日々「良いものを作りたい」と思っている私達にとってはいい方向に作用すると信じています。裁量が大きくなるということは、会社から信頼されていることの証だと思っています。信用に対して手を抜いて返すということはしないし、するメンバーもいないと言い切れるからこそ勤務体制の変更を実現できました。
大きくなった裁量と責任をしっかりと認識して、楽しく働ける環境をこれからも模索していきたいと思います。これで終わりではなく、日々良い方向に向かうように考え続け、永遠のベータ版として運用していきます。